EURO LOGI TECHNO

日本鍍金新報JAPAN PLATING INFORMATION


西暦2000年記念特大号

ユーロロジテクノ 高分子ポリエチレンバレルの好評続く

 有限会社ユーロロジテクノ(代表取締役河口泰冶氏、名古屋市中央区千代田三‐五十七、電話/ファックス〇五ニ-三三九‐四五二八)のドイツからの輸入商品、高分子ポリエチレンめっき用バレルの好評が続いている。バレルの納品の数は、この約1年半で三十二社、二百二十台を超える。亜鉛めっき用,合金めっき用の大型バレルで自動車部品用めっきを中心に、銅、錫めっきなどの電子部品などの電機業界等にもこのバレルは広がっている。また、引き合い数も相当あるという。
 好評の原因は、とにかくバレルめっきが高温の温度帯で行なえ、脱脂、電解脱脂、湯先の温度が相当高くまで(八十度)上げられる事が第一に挙げられる。次に、この工程等で使用される液温度が低いことによる不良が解消され、また、温度が低い時に掛かる時間と比べて、工程の短縮が出来ることと言えよう。大手電機メーカー、電信電話会社の子会社、トヨタ系の大手部品メーカーにも納品済みであり、上記各社でも好評を得ている。
もう一つの、高温タイプの大型バレル(Eバレル)は九十五度までの温度範囲で使用できるので、無電解ニッケル、燐酸処理などに向いている。またチャービチケ社ではPVDF製のタンクを無電解ニッケルに採用することで、バレルと共にニッケルを析出させにくい(硝酸の剥離工程の使用を減少させる)めっき装置、器具の販売も行なっており、今年の展示会にユーロロジテクノではこれら商品の出品を予定している。
 加えて、塩ビ材料を使用したバレルの製作方法のように、手溶接を行なわず、溶着によりバレルを製作するので、寸法精度が高く、バレル内面の溶接の原因によるはさがりは激減する。また、高温に耐えるバレルなので、蓋の縦方向のふくらみがないので、これによるはさがりもなくなる。また、補強が殆ど無いバレルなので、持ちこみ、汲み出しが相対的に少なくなり、マイクロジーメンスの値でも、塩ビバレルと比較して、10%程度の減少になると言う。
同社では、ドイツからリード線の輸入も行なっており、多くの企業が採用をし始めている。亜鉛めっきでプレス製品を行なっているめっき専業者の例で、十時間稼動、約十ヶ月の試用期間で十四バレル中、二バレル分のリード線が切れただけでの結果である。とにかく、機械を止めずに使用でき、交換頻度が低くなり、作業時間が多く取れる等、日本での従来品に比べて利点が多い。
上記のドイツ、チャービチケ社製ポリエチレンバレル、強化ポリウレタン製リード線はTQM(品質管理)の理論に沿った製品と言える。というのも部品交換時間、セットアップの時間を短縮できる事、また、工程短縮ができ、品質向上に繋がるなどである。加えて、近い将来の塩化ビニルの廃棄問題等、環境にもやさしい21世紀向けの製品である。

ユーロロジテクノのポリエチレンバレル 顧客の声

 ユーロロジテクノから独国製ポリエチレンバレルを購入しためっき専業所の関係者は、次のように感想を述べた。

脱脂=良く落ちる  豊橋鍍金 高木技術部長

 豊橋鍍金株式会社(〒441-8011愛知県豊橋市菰口町、高木誠治社長、電話〇五三二(三一)六二一七)は、銅、ニッケル、亜鉛、錫、はんだなどのめっきを行なうめっき専業所。自動車部品が八割、電子部品が残り二割を占めるが、電子部品のうち半分は自動車に搭載するもの。
 チャービチケ社のバレルを銅―すずめっきラインに導入した豊橋鍍金。導入後の感想を高木幹晴技術部長は、「このバレルのメリットはまず、高分子ポリエチレン製なので液温をあげられること。聞くところによると、八十度近くまで上げられるという。 アルカリ脱脂(液温六五度)→銅めっき(六十度)→すずめっき(十八度)を行なっているが、あまり良質の脱脂剤を使わなくても良く落ちる。また脱脂に要する時間も短縮できた。 @平板ワッシャーの形状のものとAバッテリーターミナルの二種類の品物をこのラインで流している。特に平板ワッシャーの場合は、品物同士がくっついて他の専業所ではめっき加工がうまく出来なかったため、当社に発注されたもの。チャービチケ社製のバレルは表面に潤滑性があるので平板ワッシャーが壁面にくっ付かず、楽に排出できるのが嬉しい。
バレル板厚は十三ミリほど。ここにそのまま一ミリ角の穴が開いていたら、水切りは難しいが、このバレルはボタン式で、ところどころに丸いボビーがはめ込んであり、そこだけが薄い構造になっている。その為に板厚十三ミリにしては水切りが良いと思われる。 耐久性と水切り性の両者を満足させる為には、このようなバレルを選択するのが良いのではないかと思う」と語った。

耐久性・耐熱性抜群  セプラス 日比野専務

 株式会社セプラス(日比野恵津雄社長、〒470-0225愛知県西加茂郡三好町大字福田字宮下四十一-一、電話〇五六一三(四)ニニ八五)は、亜鉛めっき専用事業所。自動車部品を主力にめっき加工している。
 同社は名古屋市と豊田市の間に位置する工場。十五~十六年前に現地に進出してきた。このほどチャービチケ社のバレルを亜鉛めっきラインに導入した。
 日比野直樹専務は「わが社ではニ~三年度(たび)に一回、バレルを交換していた。長寿命のバレルを要望していたのだ。河口泰治氏から耐久性抜群だというチャービチケ社製バレルを知った。本年三月に河口氏と共に独国を視察。二十年も同社製の同一バレルを使っている工場を見て河口氏の話が間違っていない事を確認した。 耐熱性も優れているようで、独国ではバレルのまま乾燥機にかけている工場を見て驚いた。我が社ではアルカリ脱脂浴が液温五十度、亜鉛めっき浴がおなじく二十度なので、高耐熱性はさほど要求していないが、将来的には我が社も独国の工場のような方式を検討するのも一考の余地があると思った。 帰国して導入を決意。まず、総バレル数三十四個のラインに導入した。ちなみにこのラインはプレス製品のめっき加工が主力。問題がなく順調なので、続いて総バレル数三十二個のラインに導入した。このラインは小物製品が主。蓋に品物の「挟(はさ)まり」が起こるということなく、良い結果が出ている。
 次のメリットは作業性に優れていること。我が社は基本的に、品物の投入から完成まで一ラインを一人で担当しているので、少しでも作業性が良い方が有利。その点チャービチケ社のバレルは蓋がワンタッチで開け閉めでき、作業時間の短縮化を実現出来た。
 また流出の時、平板状の品物などは以前、バレル内に残っていたことがあったが、チャービチケ社のバレル潤滑性に優れているのでそのようなことが無くなり、その点でも作業性が向上した」と語った。

湯洗でもにならない  鈴木鍍金工業 鈴木社長

 鈴木鍍金工業株式会社(〒468-0066名古屋市天白区元八事ニ-一六三、鈴木泰造社長、電話〇五ニ(八三一)二二一一)は自動車部品の亜鉛及び亜鉛合金めっきが主体の工場。 バレル専門の同社は従来は半自動シアンにより、例えば一二ミクロン以上のめっきを厚付するなど特殊なめっき加工を行なっており、あえて自動機は導入しなかった、という。
 このほど鈴木社長は、従来のシアン浴三ラインのうち一ラインを、自動機によるジンケート浴亜鉛めっき用に変更することを決意。名鍍会の例会などによる情報が切っ掛け。そこにチャービチケ社製のバレルを採用することにした。ちなみに薬品は高電部と低電部に均一にメッキ出来るというカニング社のもの。
 チャービチケ社のバレルを導入した件に関し、鈴木社長は「以前は塩化ビニル製のバレルを使い、四~五年程で取り替えていた。だが新しいバレルは高分子ポリエチレン製が特徴のチャービチケ社を選んだ。最近塩化ビニルなどの塩素化合物を燃やすとダイオキシンが発生することが問題になっており、将来的に産廃業者の引き取り問題が発生するかもしれないとの危惧もあったため。独国ではポリプロエチレンを燃やしても有害的なものは発生しないというデータが立証されている。
 前処理の洗浄(五〇度)に続き、後処理はクロメート処理後の湯洗(七〇度から八〇度)もバレルで行なっている。そのような状態では、通常の塩ビ製バレルだと一~二年使うと形が歪になり、蓋の挟(はさ)まりが起きやすくなるが、チャービチケ社製はそのような気配はまったくない。ただ液切れが良いのはいいのだが、塩化ビニルに比べて滑りが良すぎるのが難点といえば難点。バレルだけが空回りすることになるからだ。それを補正するために桟(さん)を内部壁面に設けた。これからはメッキ業者も設備に、独自の工夫を加えることが重要だろう」と語った。